きりたんぽ
「たんぽ」は、元々稽古用の槍につける綿を丸めて布で包んだもので、杉や竹の棒に半殺し(半分潰すという意味)のご飯を巻き付けたものが「たんぽ槍」という名前で呼ばれています。たんぽ餅とも呼ばれます。
きりたんぽ(切蒲英、切短穂)は、すりつぶしたうるち米のご飯を杉の棒に巻き付けて焼いたたんぽ餅を棒から外し、食べやすく切った食品です。秋田県の郷土料理として、鶏(比内地鶏)がらのだし汁に入れて煮込んだり(きりたんぽ鍋)、味噌を付けて焼いたりして食べられます。地域によって食べ方は異なります。
きりたんぽは、元々は冷や飯の利用法として工夫されたものだと言われています。秋田県大館・鹿角地域の郷土料理で、マタギの料理が起源とされる説もあります。他にもいくつかの説がありますが、きりたんぽ鍋は家庭料理であるため、鍋に入れる鶏肉には決まりはありません。
比内地鶏が使われるようになった契機は、比内地鶏の産地である大館市の企業が、煮込んでも硬くなりすぎず鍋物に最適なことに注目してセットで売り出し、成功したことです。その後、県北部の鹿角市が発祥、大館市が本場と定着し、秋田県の郷土料理として広く親しまれるようになりました。
南部の地域ではあまりなじみがなかったが、全国的に有名になるとともに県南にも普及しました。秋田県内でも地域ごとに異なる食べ方や料理が楽しまれていることが特徴です。