「あきたこまち」は、1984年に秋田県の奨励品種に採用された秋田を代表する銘柄米です。きりたんぽの材料としても使われています。もちもちとした粘りが美味しさの秘密であり、もち米の澱粉に100%含まれている「アミロペクチン」の割合が高いことがその理由です。
また、あきたこまちは「冷めても美味しく、おにぎりやお弁当に最適」と評されています。時間が経った後の美味しさを評価する「セットバック値」でも、他の種類の米に比べて非常に高い数値を示しています。「冷めても美味しい」という評価は折り紙つきです。
旬 9月 10月 11月
「あきたこまち」は、日本の秋田県が開発したイネの栽培品種の一つです。1984年に秋田県の奨励品種として採用され、以降は秋田県を中心に日本各地で栽培されています。
この品種は、秋田県が独自の良食味品種を目指して5年以上かけて開発したものでした。
「あきたこまち」は、「コシヒカリ」の美味しさを受け継ぎつつ、秋田県でも栽培しやすいお米を目指して品種開発されました。
最終的に選出された「秋田31号(あきたこまち)」は、福井県から譲渡された1株の雑種第一代(F1)交配種子を用いて育成されたものであり、両県の間で権利の譲り合いがありました。そのため、種苗法による品種登録はされていません。知的財産としての裏付けはないものの、隣県の岩手県をはじめ、関東地方、中国・四国地方、九州地方まで広く栽培されています。
日本各地の品種を視察する中で、福井県農業試験場で交配された「コシヒカリ」と「奥羽292号」の掛け合わせ品種が秋田での栽培に適している可能性が示唆され、アドバイスを受けた結果、「あきたこまち」が誕生しました。
この品種は秋田県でも栽培しやすく、理想とするコシヒカリのおいしさを持っていることが確認されました。
1990年に平成の大嘗祭で秋田県五城目町産の「あきたこまち」が献上米に選定されたことで、日本全国に知られるようになり、農協の売り上げも増加しました。1991年には作付面積が10万haを超え、以降も作付面積2位から4位を維持しています。2005年の時点では作付面積は約13万ヘクタールで、全体の第4位となっています。東北地方ではひとめぼれに次いで作付面積2位となっています。
品種特性
「あきたこまち」は秋田県内でも冷害などを回避し、安全に栽培できる熟期のイネ品種です。秋田県では早生の晩を示す粳品種として栽培されています。いもち病に対する抵抗性に優れていますが、ササニシキと同じく耐倒伏性には弱いとされています。
玄米の外観品質は特に優れているわけではありませんが、実用上の問題はありません。炊飯した際の米はササニシキと同等の光沢を持っています。
「あきたこまち」は透明感や光沢、香りに優れ、もち肌のように繊細でツヤツヤと輝く粒を特徴としています。食味はササニシキやコシヒカリと比較して遜色なく、強い粘りを持っています。コシヒカリほど柔らかくはなく、しっかりとした粒感があります。
粘りと弾力性に富んでおり、食味ランキングでは最高峰の特Aランクに何度も選定されるほどのおいしさです。
冷めても味が落ちにくいため、一般消費者への流通だけでなく、外食産業や弁当製造などでも広く使用されています。炊きたてはもちろん、冷めてもおいしいため、お弁当やおにぎりなどにもおすすめです。
名前の由来
「あきたこまち」の名前は、秋田県湯沢市が小野小町の生まれの地とされていることにちなんでいます。小野小町は平安時代の美しい歌人として有名です。このお米は秋田県の美味しい米として、末永く愛されるようにとの願いを込めて命名されました。